バッテリー Ⅱ2007-12-03

あさのあつこ   角川書店   Ⅱ 552円 

1巻で強烈な印象を残した主人公「原田巧」を擁する物語の続編。
所管の感想は↓
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/06/16/1582055

1巻では原田と永倉豪かが出会い、
バッテリーとして野球絵を始めることになることを予感させていた。
類まれな投手としての才能を持ち、
自らもその才能に絶対の自信を持ち、
周囲から屹立した少年としての原田の不遜な思い上がりとさえいえる自尊心、
自らを型にはめようとしている周囲への苛立ちに、
永倉という茫洋とした少年らしさが絡み合う展開だった。

2巻では、いよいよ中学生となり野球部に入って活躍しているのかと思いきや、
野球部に入部もせず、二人自主練習を繰り返す場面で幕を開ける。
原田は仲良しクラブな部活動には興味がないらしいのだ。
が、校門指導の場でのちょっとした事件で、
野球部顧問の戸村と衝突した原田は野球部に結局入部することとなる。
有り余る才能にあふれた自らを束縛されることが嫌いな原田は、
人に迎合することなく、例え上級生といえども立てようとしない。
そんな原田の巻き起こす風は、
周囲のものを巻き込み嫉妬や憧憬の入り混じった感情を涌き起こし、
やがてある事件となって暴発する。

関わるものたちをざらつかせていく天才の孤独と、
その天才にほれ込んだ秀才永倉、
二人の存在は周囲のものの心に悪意を掻き立てる。
生じた悪意は、原田の才能が突出し、周囲への配慮にかける分だけ、
歪みを大きくさせ、過激な行動となって爆発する。
努力し、我慢し、築き上げたものを放り出させてしまう原田の存在は、
ざらついた気分を煽るだけ煽る事となる。

そうした部員同士の複雑な関係に、
指導者としての戸村の苦悩も際立っている。
原田の才能を惜しみながらも憎悪し、
才能への嫉妬に対して責任をも感じていく。
原田の不遜なまでの自信は、周囲のものを虜にしていくほかない。
原田の才能が、周囲と溶け込む日が来るのか?
興味が尽きない。

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