『ゴールデン・レトリーバーとの日々』2007-06-09

アーサー・ヴァンダービルト著 WAVE出版 \1500 

 エイミーと名付けられた、そのゴールデン・レトリーバーは
著者たち一家にとっては四本足の守護者だった。
家族が独立して別々に住むようになっても、
エイミーがいる風景が、エイミーと過ごす時間が、
一家に人間だけでは感じ取ることの無い、
何気ない毎日が変化に富み、濃密な時間を与えてくれた。

家族たちの永い不在を謗ることもなく、
いつでもそこにいつづけたかのように歓迎し、暖かく迎えるエイミー。
 夏の休暇のひと時に、エイミーと家族たちはボート遊びをし、
海岸を散歩する。そこにエイミーがいるだけで、
毎日が冒険と喜びに溢れていく。

リゾート地で引退生活をする両親と<
中年になった子供たちとエイミーとの「黄金の日々」。
そのエイミーが10歳になったとき、一家に悲しみが訪れる。
エイミーに元気がないのだ。死という哀しみから、
誰もエイミーを助け出せないのだ。
悪性のリンパ腫に罹った犬の命の灯火は消えようとしている。
そして、愛されてきた家族たちは、
愛していたエイミーを偲びこの優れた物語を著した。
ゴールデン・レトリーバーとの「ゴールデン・デイズ」。
この詩情溢れる物語を読んだなら、
きっと涙が止まらなくなる。きっと犬と一緒に暮らしたくなる。

犬と人間との愛情はのどかで美しい。
  (なぜなら)犬は、楽園から追放されたことがないのだから
ミラン・クンデラ(小説家)

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