完全女子抹殺ゲーム2011-10-14

佐藤シエラ    幻冬舎    600円

最低・最悪。
著者の佐藤シエラは別名で多数の本を出版していると折り返しにある。
内容としては山田悠介あたりが書くようなものだけれど、
良くも悪くも山田悠介には悪意がない。
だけれど、ここには、ただ悪意のみがある。
山田悠介が、ため込んだ悪意を吐き出すため変名で書いたのかとも思ったが、
帯には山田悠介の推薦文がある。
だから山田悠介ではないのだろう。が、それにしても似ている。
真相はどうあれ、悪意だけしかない山田悠介なんて、読みたくない。
幻冬舎の出す本は結構好きだったけれど、
こんなもん出すようなら、終わった、ちゅうことやね。

あるアイドルユニットのメンバー12人が異空間に連れ去られ、
そこで最後の一名だけが元の空間に戻れるという設定。

登場するアイドルユニットはAKB48をそのまま映したようなものだし、
ユニットの仕掛け人はつんく♂と秋元康を足して2で割ったようなもの。
ファンへの中傷もすさまじい。
中でも30歳以上のファン層の解き方は、あまりにもひどい。

途中の少女虐待シーンなども執拗に行う意図がわからない。
エロとしてなら脳に欲情を感じさせない。
グロとしてみても凌辱シーンには淫靡さが感じられないし、
スプラッターとしても迫力に欠ける。
滑稽で、軽薄で、表面的で、
嫌悪さえ感じられない。
ただただ、買ってしまった、読んでいる自分が情けなくなってくる。

確かにアイドルは、もともとファンの欲望を受け止めるものなのだから、
性的欲望の対象にはなりうる。
だから繰り広げられるような欲望を秘めてはいる。
だけれど、高年齢のおたくであるから、そうなのではない。
もともと生物的に人は支配欲や若いオスメスに性的欲望を持ってしまうものだ。
だから妄想の世界では、それぞれが異常性愛を楽しむことも考えられる。
でも、その妄想をアイドル自身が呼び起こしたと説明するには
動機が足りない。
最初の殺人にしても、ミステリ的には成り立たない。
起きる殺人のどれをとっても、表現が過剰で、
しかも文中の説明とも矛盾している。

表現の自由があるからと言って、
こういう作品を無制限に出してよいものか。

「バトルロワイヤル」の登場以降、
しばしば虐殺ゲーム作が出てきているが、
この作品ほど悪意のみで構成されたものを知らない。

買ってはいけない。

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