あけました2008-01-01

毎年恒例の綿屋のそばで年を越す。
「はいら」も「そらん」もちゃんと食べました。
「そらん」は歴代のゴールデンの中で一番そばを食べるのが下手。
に、比べれば「はいら」は上手に食べる。

一番そばが好きだったのは「ごお」。蕎麦湯もしっかり味わう。
ジョンもそばが大好きだった。
年越しそばは一回だけしか食べられなかったけれど、
いつも僕がそばを食べていると頂戴と目を輝かせていた。
蕎麦湯も好きだった。「ごお」ほどじゃなかったけれどね。

いつもネットでリアルで遊んでいただいている皆様。
今年も「くまねこ@犬の下僕」、下僕道に精進するつもり。
「はいら」はとりあえず家庭犬訓練を目指します。
「そらん」は訓練士さんのハンドリングで救助犬認定を受けたい。
僕は、ちょっとだけ下僕から大将になれるようがんばりたい。(多分無理)

表家業も裏家業も、今年はきっと忙しくなりそう。
それでも犬と遊んで、本読んで、仕事を忘れた振りをして、
これまで以上にブログを書く。

今年もよろしくお付き合いください。

光の山脈2008-01-01

樋口明雄   角川春樹事務所   920円

ハードボイルドな男の生き様が魅力の一冊。
主人公に据えられるのは、知的障害とは言えないが、
他人との感情の共有が苦手な、
コミュニケーションに障害を持つロッタこと六田賢治。
八ヶ岳のふもとで言語障害を持つ妻亜希と、
数頭の犬と暮らし、矢までいのしし猟などをしている。

青年になるまで、他人と上手く付き合えず孤独の中にいた。
青年期になり、山の中で遊び、犬たちと共にいのししを追う生活をし、
自らを変化させた。
もともと知能は高かった。
自然の中で回復したロッタは、山の中で猟師として暮らすようになった。
しかし、他者と群れることを避け、独自の倫理観で行動するロッタは
しばしば他人と衝突する羽目となる。

妻亜希は、両親を失ったため転地してきた。
美しい都会人は、地元の女性たちから執拗ないじめを受けていた。
毅然とした対応をとったことから、とある事件に遭い、
その精神的障害から言葉を失い、
絶望の淵にいたところをロッタと出会い救済された。

ロッタはただ一人の肉親として兄がいる。
地方新聞社に勤める記者として勤めている。
兄はロッタの住む地域を舞台とした不法投棄を追いかけている。
不法投棄に取り組んでいた役人の死を弔うためにも、
何とか証拠を突き止めようとしていた。

ロッタが犬と共に山を走るうち、兄の追う不法投棄の証拠を見つける。
ロッタは悩んだ末、不法投棄の告発に手を貸す。
告発された対象企業は、暴力団とつながっていた。
やがて暴力団から報復が始まった。

兄を殺害され、愛する妻、犬も殺害され、
ロッタは憤怒に突き動かされ、復讐行を開始する。
愛犬シオと極寒の地でのサバイバル戦闘。
敵は暴力団の総勢20名。
山に愛されたロッタの死闘が始まる。


爽快かつ感動的な物語だ。
凄惨な殺戮シーンが連続するが、決して陰惨ではない。
主人公ロッタの行動規範は、むしろ無欲・純粋である。
悪戯に獣を殺すことを嫌い、猟師としての誇りを持っている。
死闘の相手側は、人間世界の規範も、山人としての規範をも無視する。
この戦いは孤独だが、山に愛されたロッタの輝く精神を照らす。

小説の見所としては、犬と共に行ういのしし猟の凄まじさ。
犬と猟師との連係プレーなどにもある。
冬の猟場での生き残り術なども精緻に書き込まれており、
山岳小説として、とても優れたものとなっている。

地方の村の排他性や、悪に対する事なかれ主義なども批判的に捉えられ、
登場人物に幾人かのロッタへの理解者を配したことで、
結末は安らぎに至る。

犬好きな人にはシオを軸にして読んで欲しい。
究極の犬との付き合いがかいま見える。
こういう飼主になりたいとは思うものの、
下僕では無理なのだ。

わが身世にふる、じじわかし2008-01-01

芦原すなお    東京創元社   552円

ミミズクとオリーブ  
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/06/05/394274
嫁洗い池  
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2006/07/26/462503
に続くシリーズ第3作。

作家の悪友、河田警部が持ち込む事件を、
家から一歩も出ずに妻が推理する安楽椅子探偵ものといえる。

この作品集の魅力は、料理の数々と、
作家と警部の掛け合い漫才のような会話。
で、さまざまに脱線しながらも、事件を語るうち、
女性ならでは気づける些細な事実から、
事件が解決に導かれていくのが心地よい。

芦原作品に共通するのは、事件が軽いという点があるものの、
本来後手後手とかけるトリックや謎解きを、さらりと流す点だ。
結構トリックとしては難しいもので、
いろんな要素を加えたら、長編になろうかという題材を、
30ページから40ページで描いているところだ。
心理描写もくどいことはせず、さらりと語らせるから、
陰惨な事件なのに残酷さは希薄。後味も悪くない。
次回作品集が出版されるのが待ち遠しい。

とほほな正月2008-01-02

「はいら」はちょっと賢くなりました。
と、書きたいと思っている。

なのに、ああ、それなのに、
正月早々やってくれました。

晩の散歩に30分かけていきました。
とことこと約2キロ歩いてきたのに、
あちこちで小便していたのに、
さんぽ前に犬走りでウンコもしていたのに、
散歩から帰ってきて足を洗い家に入れて、
晩のおやつをあげてちょっと一息。
「そらん」と一緒に並んでおやつを食べていたのが、
走りこんできて遊べ攻撃してきた。
もうちょっと待っとくれと、しばらく無視していたら、
「そらん」と一緒に遊びながら出て行く。
5分ほどしてから帰ってきて、足元で寝ている。

僕も薬を飲んだし、寝に行こうかと立ち上がると、2頭も付いてくる。
「ごお」君の部屋(オーディオ・ルーム)の前を通るとなにやらくさい。
もしや、と思い確認しに行くと、うんちの痕とおしっこの痕が2箇所にある。
しかもうんち食っとるがな。
こんなことするのは「はいら」しかいない。

散歩から帰ってきたばかりだよ。
家に入れてから20分も経ってないやん。
なんで家ん中でウンチやしっこすんねん。
餌やおやつだって十分に食べとるやろ。
なんで食べんねん。

後始末に時間がとられるのは仕方ないとしても、
匂いは消えるのに時間が掛かる。
うんち食った口で舐めにくるんか。
ええい、やめ!!やめ!!

一向にしつけられないおばかな「はいら」
ええかげんにしろ。そのうちきついお叱りをしなければならなくなるぞ。

正月早々悲しい下僕である。

ひとつだけ「はいら」に技が増えました。
「椅子」の上でお座りができるようになりました。
そんなん覚えるより、家の中での大小便やめてや。

バッテリー Ⅲ2008-01-02

あさのあつこ   角川書店   476円

バッテリー   あさのあつこ
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/06/16/1582055
バッテリー Ⅱ   あさのあつこ
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/12/03/2469986
と、この任期の作品を読んできた。
コミック化や映画化もされているようだが、
主人公原田巧の屹立した人物像に惹かれた読者は、
この物語の、数多い登場人物の中に、
それぞれの理想を投影させてしまっているのかもしれない。

原田巧はもちろんのこと、相方の永岡豪や先輩の海音寺、
ライバルチームの横手中学に所属する天才打者・門脇秀悟、
登場するものたちは、それぞれに成長しながら、
人とは違う何かを持っている。

この3巻では、2巻の3年生部員のリンチ事件により、
活動停止処分されていた野球部が、
再び活動できるようになり、
部員たちの野球への思いが確かめられる章となる。
一方で、幾人かの部員が野球部を去る。

静かな水面に異物としてやってきた原田巧を受け入れられない者と、
自然に受け入れていく者たちの葛藤が痛い。

蛇にピアス2008-01-03

渡辺ペコ(原作・金原ひとみ)   集英社   400円

ヤングユーにて発表された同名原作のコミック化。

原作自体が好きなタイプの作品ではなかった。
虚無的な生活を描くことに意味があるのかと考えていた。
確かに目新しい書き手ではある。
サディズム、マゾヒズム、同性愛、暴力、
セックスさえ痛みを伴い、死と隣り合わせ。
若く魅力的な女性が書くことで話題性もあったろう。
だが、そこに広がる世界など、あまりに何もない世界で、
こんなものを現代を代表するものと持ち上げてよいのかと反発していた。

その小説のコミック化である。
ヤングユーは、レディース・コミックという位置づけなのだろう。
ただし、性愛を中心としたものとは違い、
大人の少女マンガを目指していたものといえるのだろう。
2006年に休刊となっているが、
「おいしい関係」ほかの人気作も輩出させている。

その中で「蛇とピアス」は、性愛と暴力を題材にしていた点で衝撃的だったのかもしれない。

人並み以上の用紙を持つ主人公。
将来に対する夢とてなく、退廃的に怠惰な日々を送っている。
クラブで出会った男のスプリット・タンに魅せられ、
痛みこそ自己の存在理由として捉える。

死すら救いでなく、永遠の牢獄にいる。
傷つけることだけが生きている証だとは、その世界は煉獄だ。

そんな世界をコミックにする。
試みは半ば成功しているのかもしれない。
絵が加わることでイメージの実体化が容易になっているといえよう。

しかし、原作の持つ嘔吐感の再現までには到らない。

…どっちにしたって、この作品世界を拒否したい。

夏の終わりにオフサイド2008-01-03

山際淳司   角川書店   500円

1995年に46歳でこの世を去った、
スポーツライターの第一人者、山際淳司。
彼の残した著作は、死後10年を越えた今でも輝き続けている。

名高い「江夏の21球」を始め、
彼の作品は徹底的なインタビューを重ね、
人物の心の襞を描ききるところにある。
その徹底振りは、時として本人さえ意識していないものをあぶりだす。

本書は、そうした一連のものに比べると、
やや軽く書き流しているかの印象がある。

アリやマッケンローのほか、
無名の成功者ではないものたちにスポットを当てている本書から、
スポーツに魅せられ囚われた者たちの思いが、
直接体にしみこんでくる。

孟賞君32008-01-04

宮城谷昌光   宮城谷昌光   1600円

全館までの感想は
孟嘗君 1    宮城谷昌光
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/08/17/1731418
孟賞君2   宮城谷昌光
http://kumaneko.asablo.jp/blog/2007/10/24/1868800
で書いた。

タイトルは「白圭」のほうが正しいのじゃあるまいか。
3巻に至っても田文はまったく背景に埋もれたままである。
ただ、伝聞の幼少期に影響を与えたであろう数々の人物の事蹟は、
それなりに興味深い。
孫臏や白圭といった魅力溢れる人物の躍動が心地よい。

犬たちは正月が嫌い。2008-01-04

毎年正月は親戚の集いなどがあり、
犬たちは留守番を余儀なくされたり、
クルマで長時間待機させられたりと受難の日となる。

今年も2日は、家で留守番。
1時ごろから7時まで、家で留守番と相成った。
帰ってきたら、ほっときやがってとばかり手荒いお叱りを受けた。

3日は姉宅へ行くので、11時ごろから8時ごろまで留守番の予定だった。
が、雰囲気を察してか、
「そらん」は玄関を飛び出しクルマの横で不動の体勢をとる。
「はいら」もなんとなく「そらん」の協力をするべきと判断したようで、
2頭で頑として家に入るのを拒否するのだ。
仕方がないからドアを開けてやると急いで乗り込み、
ケージの中にはいって出てこようとしない。
結局連れて行くことになってしまった。

姉宅についたら着いたで、今度は「ボス」とジャジャに呼応して、
クルマの中で興奮し始めている。リードをつけるのさえ一苦労。
どうにかリードをつけて敷地に入れてやり、
ボスやジャジャと挨拶させている間に、
車の駐車位置を直そうとしていると、
{そらん}は門扉を飛び越えて走ってくる。
車を追い越して前に回る勢いだ。危ない危ない。
停車し「そらん」を載せてやり直そうとしていると、
「はいら」が悲鳴のような泣き声を上げている。
ええい、待たんかい。

どうにか無事駐車し、姉宅に入ると、
「そらん」「はいら」ジャジャが走り回って大暴れ。
「ボス」は相手しとれんとばかり、室内に退避。
3頭をほったらかして挨拶に進む。

その後、総勢が揃ったから、会食に出ることになる。
「そらん」はともかく「はいら」を室内に放置できないから、
2頭を僕のクルマに待機させて出発。

会食から帰ってきた後は、姉の許しもあり、2頭とも室内に入れた。
去年はなかなか入れてもらえず拗ねていたから、
今年はよほど嬉しかったのだろう。
「そらん」はみんなに愛想を振りまいていた。

帰る段になって、2頭をクルマに乗せてたら、
「ボス」がクルマに乗るのとがんばる。
でも「ボス」を乗せると大変なことになるから我慢我慢。

隠して犬たちの正月は終わった。
今年は楽しかっただろう。
でも、いつもこうなるなんて思うなよ。

「ボス」が元気なうちにどこかに行きたいなあ。

風邪ひいた2008-01-05

土曜日だし、ドギパに行こうと思っていたのだけれど、
今朝は頭がいたい、関節も痛む。下痢気味だし、食欲もない。
熱を測ってみたら微熱とは言え、平熱より高い。
どうやら年末から流行っている風邪にかかってしまったらしい。

犬たちは散歩も短めにされ、大いに不満顔。
さっき病院から帰ってきたら、
家の中は臓物を撒き散らした縫ぐるみが数体。
国語辞典が公開処刑よろしく階段で晒されている。
ほかにもゴム草履が無残なことになっている。
後片付けをする気力もなく、2階に上がって寝ようと思ったら、
ベッドの上もいろいろと不都合なことになっている。
何とか気力を振り絞り、片付けてみたものの、疲れきってしまった。
しかも寝ようとしたら、ご覧の通りの状態に。
体を休める場所とてないのだ。

せっかく片付けたベッドは犬たちが占拠している。
とりあえず暖房を今冬始めて使い部屋を暖めているのだが、
断続的に震えが襲ってきている。
この調子だと明日も犬たちに攻め立てられながら休んでいるしかない。

新年早々、付いていない下僕一味なのである。