写真の魔力2011-03-18

今回の大災害にあたり、
被災地からのペット保護依頼を24時間ぶっ続けで受けているとして、
いち早く動いたエンジェルズ。
その呼びかけに応えた人たちがブログで発信をし、
杉本彩が紹介したこともあり、大きな反響があるようだ。
この図式は広島ドッグパークの再現といってよく、
おそらく多くの支援品、支援金がエンジェルズに送られていることは間違いがない。
しかしながら、この記事を書いている現在、
エンジェルズからは支援品・支援金の状況は発表されていない。

「命のリレー隊」としての活動は、
24時間なりっぱなしの保護依頼に応えて、
たくさんの活動の参加者によって、
被災地のペットを一時預かりすることだという。

そのために必要な支援品の募集を現地から帰ってきてし始めているが、
僕には現地に行った者の発信として、
相当におかしな品目を並べていると思えるのだ。
彼らのホームページに記されている緊急支援物資だが

ドックフード各種、ガソリン携行缶、高圧洗浄機、除菌消臭剤
搬送用クレート各種サイズ、猫ケージ

などとあるが、ガソリン携行缶などは支援を待っていては遅いので買えばよいし、
高圧洗浄機が捜索や保護のためになんでいるのか理解できない。
水をかぶった家屋の清掃には使えるかもしれないが、
そんなものを今運び込んでも、すぐに使えるわけでもない。
第一、現地ではそういうものより、もっと必要なものがある。
食料と水と電池やランタン、などといったものの方が有効だ。
自分たち自身で現地の物流不足と停電の怖さを実感したではないか。
人が口にできる食品、たとえば乾パンやビスケットの類。
そういうものの方が人も食べられるし、
動物のエサとしても急場しのぎには使ってよい。
毛布などを持っていけば、
避難所の中に入れるのが難しい状況でも、
人に必要な数がいきわたれば犬猫に使うこともできる。

「命のリレー隊」の実態も不思議。
なんだかすごい大人数が動いているように書いているが
よく読んだら訳が分からない。
24時間保護依頼が殺到し、
移動中のリレー隊に救援先を知らせているのに、
保護しているのはほんの数頭。
仙台市宮城野なんて、何度も出ているけれど、
結局はだれがどこに保護してきたのかも不明。

ただ一つ言えることは、
被災地の写真がある。被災地から連れ帰ったとする犬の写真がある。
だから大規模な活動を展開していて、
多くの数の被災動物を救っているとは思えないという点だ。
写真の説明をうのみにできないのだ。
一例として3月14日の活動記録を読み返してほしい。
仙台市での活動可能時間は
実際には最大で5時間ほどしかとれなかったろう。
その時間で保護要請があった地域と避難所を回り保護受付もしたうえで、
荒浜まで出向いて捜索もしている。
9名程度の人間でできることかどうか、
冷静に考えてみることをお勧めする。

とにかく今は人への支援を最大限に推し進めるべき時だ。
そのことが被災者と被災動物の安定に役立つ時期なのだ。
犬命の僕でも、犬猫しか見ない彼らの発信に憤りしか感じない。
避難者で十分な物資がなく、
せっかく拾った「命」を落としている人もいる。
そんな中で、大々的に支援を呼びかけているが、
現地への輸送力もほとんどない団体に支援品や支援金を集めても、
この急場の役に立つわけもない。

エンジェルズの訴えに賛同するのは個人の考えだから構わない。
集めた金が全額犬のために使われていなくとも、
林夫妻たちが支援金を使っても報酬だからよい。
そう確信している人にまで支援をやめなさいなんて言えない。
でも、そういう情報も必ず併記したうえで転載をしてほしい。

この災害では、現時点で分かっているだけで7000棟の家が津波で流された。
何もかもを流された人の資産だけで3兆円以上になる。
今後津波被害から逃れていても、
震度6以上の地域では前回相当の家屋も多数出よう。
失われた社会資本の復旧にも多額の費用が掛かる。
そういう近未来が待っている中で、
広島ドッグパークでの余剰金創出の手法を再現されるのは、
あまりの不合理に感じる。

エンジェルズ活動日誌の主要な記事を以下まとめてみた。
時系列で追うと
書いている内容がちぐはぐでやりきれなくなる。
僕が何を読み取ったかは、ここではあえて触れない。



3月13日 
午前中    滋賀を出発
 17時30分 新潟に向けて移動中
 22時10分 場所の記載なし
3月14日  
  9時     山形
 17時45分 現地で9名動員。
現地スタッフとボランティアと合流
          保護要請のあった個所を順次まわる。
           (荒浜にも立ち寄る。)
          避難所に立ち寄り、一時預かりの説明と受付。
          捜索中に猫を発見。保護。(津波被害地域外)
          現地スタッフとボランティアは前日から徹夜で活動。
3月15日  
  0時35分  スタッフは捜索活動中。
          ガソリンが残り少なく移動できない状況。
          避難所を回り保護の依頼がないか、探し回っているよう          です。(この表記はエンジェルズの発信のまま)
  1時20分 14日の17時45分の画像が荒浜と記載。
  7時 5分 スタッフはいまだ徹夜で捜索。
          給油ができないため移動はできない。
          宮城野からの搬送の手伝いを要請。
  9時56分 避難所での犬のフードが底をついた。
          動物のご飯を現場に届けることが必要。
3月16日 
 15時48分 この時間付で滋賀まで帰ってきたと報告。
         静岡班が入れ替わりに福島入り。
         保護した猫は現地ボラに保護依頼と明かす。
         日が暮れ停電で真っ暗だったと明かす。

3月17日  
  2時43分 被災地からの依頼が殺到。
         現地への指令は関西方面で受信し、場所を特定してリレ         ー隊に指示。
3月17日 
 19時42分 保護した犬を2頭公開。
          仙台市宮城野の犬と福島からの保護犬。
          福島の犬の飼い主から翌日お礼のメールがあったと記          載。

上の時系列は、エンジェルスの報告だ。
で、下はその中の一節だ。

今回は、福島県原発の関係で、特に指示が多く出されました。
「現在、原発40キロ圏内」
「ただちに、東に移動して下さい。」
「津波警報が出ています。沿岸捜索中止!!」など・・・。

緊急本部機能を持っているような団体が、
たくさんの人を動員して救った犬が、
たくさんであることを、
せめて期待したい。

コメント

_ しのちゃん ― 2011-03-19 15:58

さすがです!MAPと照合すればよく判りますねー
途中でヘリを使っていますかね・・・
レスキューの”点と線”
滋賀に集まった支援は野ざらしの可能性も・・・
帰阪は長距離移動ですが慣れたものでしょう。
相当多くの犬の命の救助が期待されます!

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