空想キッチン2011-11-28

柳田理科雄は一連の空想科学読本シリーズで人気の作家だ。
名の『理科雄』は本名とのことである。父により命名されたらしい。
名のとおりに成長し、科学が好きな少年時代をすごしていたようだ。
大学に進み、宇宙物理を学ぶつもりだったというが、
在学中に学習塾を立ち上げるため中退した。
が、塾は経営に行き詰る閉鎖されたという。
なかなかの経歴の持ち主である。

ケンタロウについては、何者であるのかトンとわからなかったのだが、
相当に人気のある料理研究家だとの事だ
。この人は母が料理研究家としては巨星ともいえる小林カツ代で、
子供時分から料理のことは、一般の人よりよく知っていたのだろう。
最初はイラストレーターを志していたが、イラストの仕事が不調で、
母の元で修行し直し、料理研究家として活動し始めている。
すでに多数の著作を持つ。

この異色の経歴を持つ二人が、対談という形で、
人気アニメの中の料理を語っているのである。
ちゃんとした知識を持つ料理研究家が、空想の中の料理を、
場合によっては再現し、実際に食べてしまう。
大真面目にしているからこそおもしろい。
扱うアニメはオバQ、ラピュタ、ポパイ、ハイジ、ど根性ガエルなど、
新旧取り混ぜて13本から選ばれる。

画面から製造工程を分析したり、大きさを判別したり、
果ては宮崎アニメの細かな点の描写の感心して見せたりと、
『空想科学読本』の成り立ちそのものとなっている。
薀蓄を語る本だが、知っていて役に立つ薀蓄など、
一つとしてないほど。

柳田氏は、『空想科学読本』シリーズでは、
切り口がいつも同じで、面白いといえば面白いが、
もうおなかいっぱいと感じさせられるのだが、
『空想キッチン』では、
ケンタロウ氏の話を引き出すことに徹していて新鮮。
いつもの科学談義が、料理を語るときのスパイスにすらなっている
。なかなかの好著に仕上がっている。
ただし、これまた『空想科学読本』と同じく、
中途半端な知識しかないものには、ねた本としては使えない。

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